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徳川義親が1922年にスイスで購入した木彫り熊(左)と100年前に八雲町で誕生した第1号=個人蔵、北海道八雲町末広町の木彫り熊資料館
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 木彫りの熊といえば、かつての北海道土産の代表格だ。産地の一つの八雲町で「第1号」が誕生して今年で100年。近年、再評価され全国からファンが見に訪れるが、一時は作り手がほとんどいなくなり、忘れ去られた存在だった。かろうじて伝統をつないだのは、住民たちの地域への誇りと愛着、そして「殿様」の思いだった。

 八雲町は北海道西部の函館市の北西約80キロに位置し、ホタテ養殖や酪農が盛んな人口約1万5千人の町だ。明治期に尾張徳川家の旧家臣らが入植した歴史を持つ。

 尾張徳川家19代当主の徳川義親(よしちか)は1922(大正11)年、旅行で訪れたスイスで木彫り熊などの工芸品を土産として買い、翌年、八雲に届けた。八雲で農閑期の副業として制作を奨励し、24年3月に第1回農村美術工芸品評会を町で開く。このとき出品されたのが、スイスの熊を手本に作られた第1号だった。

八雲町の木彫り熊のルーツであるスイスから、徳川義親が旅をした約100年前に使われていた「ゆかりの品」が八雲町に贈られることになりました。地域の宝を愛する町民とスイスの工房経営者との交流が、木彫り熊100周年を祝うムードを演出することになります。

 100年後の町では、義親が購入したスイスの木彫り熊などをモデルに「100体を彫ろう」という企画が進む。提案した青沼千鶴さん(44)は町で唯一の司法書士事務所を開く。近隣出身だが、2009年に移住して木彫り熊に出会い、「まちの宝だ」と直感した。

 21年に木彫り熊の魅力を発…

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